本記事では、『チーズはどこへ消えた?』の要約・解説・感想を紹介します。
本記事を読むと
・『チーズはどこへ消えた?』のあらすじ・要約がわかる
・『チーズはどこへ消えた?』の解説がわかる
・『チーズはどこへ消えた?』が何故人気なのかわかる
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『チーズはどこへ消えた?』の要約
登場人物は2匹のネズミと2人の小人さん。2匹と2人は大好物のチーズを探して日々迷路を駆け巡っていた。
その中で彼らはやっと大好物のチーズを今日も見つけた。そのチーズの量は莫大で、もう一生食べていけるんだと思うくらいの量だった。
ついに安定を手にした(と思った)ネズミと小人たちはその食料地を「ステーションC」と呼び、お腹いっぱい毎日たらふくチーズを食べていた。生活は安定し、わざわざかつてのようにチーズを探す必要がなくなったのだ。
しかし、ある日突然チーズは目の前からなくなってしまう。この後のネズミたちの行動と小人たちの行動は大きく異なっていた。
ネズミたちの行動
ネズミたちの名前はスニッフとスカリー。二匹は兎にも角にも行動した。「無くなったのなら探せばいい」というのが彼らのとった行動だった。スニッフたちは迷路を探し続けた。時には匂いを嗅ぎ、時には壁を引っ掻きながらとにかく新しいチーズを探した。そしてついにネズミたちはステーションCよりも更に莫大なチーズの山を見つけるのだった。
小人たちの行動
小人たちの名前はヘムとホー。二人はチーズが無くなってしまった時に考えた。「もしかしたら一時的にチーズは消えてしまったのかもしれない...」。その後も毎日毎日「ステーションC」へ通い続けるヘムとホー。しかしそこにチーズが現れることはなかった。
暫くたった後、ヘムはホーに「ステーションC」を出発して新しいチーズを探しにいくことを提案する。しかし、ヘムは聞く耳を持たない。最終的にホーは「このままでは生きていけない」と考え、ヘムを置いてチーズを探す旅に出る。
もしかしたら「ステーションC」にいればチーズは見つかったのかもしれない。結局ネズミたちはどうなったのだろう。と思考を重ねながら最終的にたどり着いたのはチーズの山。そこでホーに向かって手を振っていたのは、チーズをたらふく口に詰め込んだあのネズミたちだった。
こんな短い短い話が『チーズはどこへ消えた?』だ。
でも、この話から何を学べるんですか?
以下に解説するね。
『チーズはどこへ消えた?』の解説
本の内容を理解するためには、誰が書いたのかをまずは確認しておこう。
この本を書いたのは?
医学博士・心理学者でハーバード・ビジネス・スクールの名誉会員。 そんな華やかな肩書きを持つスペンサー・ジョンソンが書いたのが本書『チーズはどこへ消えた?』だ。
ページ数が約100ページという短い文章の中で彼が伝えたかった事はなんなのだろうか?
登場人物の名前に注目してみよう
本書における登場人物はネズミのスニッフ、スカリー、小人のヘム、ホーだ。 それぞれの登場人物には英語で意味がある。 スニッフ(変化に気づく)、スカリー(行動する)、ヘム(閉じ込める)、ホー(笑う)だ。
チーズが消えたときのネズミと小人の違いを考えてみると、本書で伝えたかったのは「行動することが大切な時もある」ということじゃないかと推測できる。何よりも、ネズミのスニッフはチーズが無くなったという事実にすぐに気づき、スカリーは行動した。一方で、小人たちはどうだったかというと考えたが故に初動が遅くなった。ホーが行動しようとヘムに伝えても、ヘムは動かなかった。
ただ救いがあるとすれば、最終的にホーは遠回りはしたものの、チーズにたどり着けたことだ。どれほど悩み、失敗したかもしれないと後悔しながらも、歩き続ければ希望の光があるということを著者スペンサー・ジョンソンは伝えたかったのではないだろうか。
僕らの手にしている「安定」は実はそんな大したものじゃないんだとも思わせるような作品だ。
『チーズはどこへ消えた?』の考察・感想
それでは、もう少し深掘りして考えていこう。『チーズはどこへ消えた?』から僕らは何を学べるのだろうか。
変化とは何かを得ることだ
僕らは昔を美化するようにできているらしい。「あの頃は良かった。まだパソコンやスマホがなかった時代は人と人との関係性が濃くて。。。」 こんな話を一度は聞いたことがあるだろう。特に高校受験や大学受験の現代文なんかにはよく出てくる話だと思う。僕らは変化を嫌う。例えば今ではもうマッチングアプリなんてのは普通になってきていて、それで結婚しました。なんて人も周りにいるのは珍しくない。 でもいるんだ、そんなのは真実の愛じゃないとか何たらいう人が。
今あるモノが永久に続くことはないってのはもう700年以上前の『平家物語』が教えてくれているじゃないか。 変化するってのは失うことばっかじゃない。 変化に伴い新しいものはどんどん生まれてくる。 だから、僕らにとって大切な事は、柔軟に新しいことを受け入れていくことではないだろうか。「安定」もそうだ。 今ある「安定」がそもそも「安定」なのかもよくわからないが、時代が変われば安定の形も変わる。
大切なのは、容易に現状維持至上主義にならないことだ。 思考停止状態で全てを受け入れる必要はないが、新しいものや考え方にもいいところはたくさんある。だから、頭ごなしに否定するってのはやめなきゃいけない。
モノではなく体験に意味がある
本書を読むと、「安定」を失い当初は絶望しながらも、新たなチーズを見つけようと変化を楽しむ小人のホーの姿が僕らの胸に深く刻み込まれる。 ここからも僕らは色々なことを学べると思う。僕が一つ思うのは今は体験こそが重視される時代だということだ。同様のことを多くのベストセラー作家や経営者が語っている。
例えば、『死ぬこと以外かすり傷』の著者箕輪さんも、今は似たようなモノはたくさんあるから、一つのストーリーを乗せられる商品が売れる時代だと言っている。
実際に自分が何か行動を起こしてみると、情報の感度も高くなっていく。結構いいことだらけじゃないか。 だから、万が一『安定』から切り離されても絶望しなくていい。 楽しめることって多分たくさんあるんだ。
僕らの中にいる登場人物
本書における登場人物はネズミのスニッフ、スカリー、小人のヘム、ホーだ。 本書ではスニッフとスカリーが成功者として描かれているが、僕ら人間はそこまで単純にいくはずがない。 誰しもがきっと心の中に彼らを飼っているのだと思う。大切なのはどの登場人物を使うべきかをその場その場に応じて考えることだ。
失敗の経験を活かし、どんな場合にどの登場人物が自分の心の中に出てきてしまうのかを認識するようにする。 この認識が非常に大切だと思う。 認識するだけで、同じ過ちをしないきっかけになる。 例えば僕であれば、人から面白い話を持ちかけられると、スカリーが敏感過ぎるほどに出てしまうことがあり、早く行動しすぎて失敗することがある。 そんな時は「今、スカリーが出過ぎているかもしれない」と認識する。それだけで少し行動が変わる。
まとめ
本書を読むと行動こそ正義だ!みたいな考え方になる可能性があるが、チーズはどこに消えた?の例は極端なので常に何が正解かを自分で考える必要がある。 しかし同時に、「一歩踏み出す勇気」を与えてくれる本でもある。 すぐに読めるので、ぱっと読んでみるのはいかがだろうか。
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参考:識学総研より
元バンカーのECオタクです。現在は中国OEMなどで生計を立てています。一企業の経営者です。