かつて銀行員は安泰と言われていましたが、今は銀行に就いていても、ストレスや別のやりがいを求めて転職を希望する方が多くいます。
しかし転職に求められている人材は即戦力が多く、新卒と同じようには扱ってもらえません。
転職の際は、銀行で得た経験を強みにすればスムーズに成功できます。
そこで本記事では、銀行員から転職する際に役立つ以下の3つを紹介します。
- 企業から見た銀行員の強み
- 総合職・一般職別の転職で自己PRできる強み
- おすすめのエージェント
銀行員から転職をしたいと考えている方は必見の内容です。
<本記事の監修者>
伊東孝祐
株式会社マイナビに2年8ヶ月勤め、延べ2,000件以上の求人広告制作に携わる。
「求人市場に対する広い知見を持って、多様な視点から銀行員の転職について意見を述べます。」
企業から見た銀行員の転職の強み
銀行員は「賢そう」「学歴が高そう」などといったイメージを抱いている方は多いのです。
同様に、企業も銀行員に対してさまざまなプラスのイメージを抱いています。
転職の前に、企業が銀行員にどのようなイメージを抱いているのかを把握すれば、自己PRや長所といったことにつなげられます。
ここからは企業が持っている銀行員の強みをわかりやすく解説します。
- そもそも:賢い
- 数字に強そう
- コツコツ努力することができる
それぞれわかりやすく解説します。
そもそも:賢い
銀行員は賢いと認識されています。そもそも、銀行員に就職している時点でクリティカルシンキング、ロジカルシンキングやコミュニケーション能力などは高い方は多いように見受けられます。
具体的に、一般的な銀行員に備わっている能力としては以下が挙げられます。
- 真面目
- 情報収集能力
- 分析力
- 正確性
- リスクヘッジの力
銀行員を長く続けられる方は、上記の特徴を持っているので、企業から見ても強みを営業に活かせたり、正確性を重要視する仕事に活かすことができます。
社会人として求められる能力を満たしていることが多いのです。
数字に強そう
銀行員は数字に強くなければいけません。担当部署にもよりますが、特に強くなければいけないのは融資担当です。
融資担当は企業の財務状況を確認した上で、そもそも返済はできるのか、資金使途は正しいのか、担保は充分にあるかなどを検討し、融資の可否を判断します。
このため、銀行員は財務知識やお金の流れを判断する力が身につきます。
銀行員になった以上、お金は切り離せない絶対的な存在ですので、数字に強くなります。
コツコツ努力することができる
銀行員は毎日同じルーティンだから慣れが重要と思っている方も多いでしょう。
もちろん大半の業務は慣れもありますが、慣れるまでの努力が必要です。特に銀行員は継続の取引先を相手にすることもありますが、新規の顧客も相手にやりとりをします。
新規の顧客を相手にするにはその顧客に関する知識を得なければなりません。ましてや銀行の業務は世の中の経済状況に大きく左右されるので、新しい知識をキャッチアップする日々の努力が欠かせません。
そのためコツコツ努力する力が身についているのです。努力はどの企業へ行っても外せないことですので、どの業界に移動したとしも大きな強みとなります。
【総合職】銀行員の転職で自己PRできる強み
総合職は、高度な分析力や企画力といった能力が必要とされ、幅広いポジションで活躍できる職種です。
場合によっては転勤を伴い、年齢が上がれば出世コースへと進むこともできます。そんな総合職として働いていたあなたは以下を自己PRで使えることでしょう。
- 数字を追う営業ができる
- 目標を遂行する能力が高い
- 経営者とのディスカッションができる
それぞれ詳しく解説します。
数字を追う営業ができる
総合職は目標を掲げて営業をするため、数字にこだわることができます。
例えば、10億円の融資残高を増やすというノルマがあるとするならば、銀行員はどうにかしてそのノルマを達成しようとします。
特に総合職は自身のボーナスや昇給などにも跳ねる可能性があるため、こうした数字へのこだわりは他業種の営業よりも強い傾向があります。
「数字を達成するために何をすればいいのか」にこだわる銀行員の姿勢はその後別の会社に行っても重宝されることでしょう。
したがって、営業への転職でこれらを自己PRに取り込むことでスムーズに転職できるでしょう。
経営者とのディスカッションができる
総合職は、経営者と話をする機会があります。直接経営者に対して営業をかける職種は珍しく、他の仕事では経験ができない貴重な経験をしています。
企業がどのような課題を抱えていて、その問題をどう解決をするのか、そして今後の企業の成長性を経営者と共に考えます。1社1社に対してできる最大の努力をするのも、銀行員ならではの仕事といえますので、企業のビジョンや成長戦略と向き合った経験は他ではない財産となるでしょう。
経営者とのディスカッションは想像よりも難しく、軽率な発言がその後の銀行取引に大きく影響を及ぼすこともあるため、気のおけない瞬間が続きます。
このように、経営者とディスカッションができるのは総合職の強みです。その力は他の業界に行っても強みとなるでしょう。
【一般職】銀行員の転職で自己PRできる強み
総合職と並ぶのが一般職です。一般職は業務を円滑に遂行するために支えてくれる実務のエキスパートです。
業務としては調査・統計部門、データ管理といった業務アシスタントをします。総合職と異なり、転勤が命じられることはありません。
事務を正確に行えるイメージが高い一般職の、転職の際に使える自己PRを見てみましょう。
きっちりかっちりと事務作業ができる
一般職は特定の部署で特定の業務を継続的に行います。支店に配属されれば、窓口での講座作成、振り込み・両替の手続き、バックオフィスで書類の処理といった業務です。
お金が合わなければ、原因がわかるまで追求します。このように失敗や原因不明は許されないので、きっちりかっちりと事務作業ができるようになるのです。
事務作業は誰でも任される業務ですが、正確に行うのは難しいものです。失敗なく事務作業できるのは、事務職への転職の際に非常に有利となるでしょう。
また営業でも事務作業ではつきものですので、営業の転職も可能です。
一般職なのに営業もできる
「一般職なのに営業もできる」のが面接時に強くアピールできるポイントになります。銀行の一般職の仕事は「事務仕事」から「営業補佐」という立ち回りに変化しました。
実際に日経新聞でも、一般職の採用条件が「きっちりかっちり」から「責任のありそうな人」へと変わったことを報道しています。
例えば2019年には三井住友銀行で一般職と総合職が統合され、2020年では一般職の採用は廃止、そして2021年には常陽銀行にまで動きが広まり...と、一般職と総合職が統合される動きは後を立ちません。
実際に統合がされた後は、一般職であっても事務仕事だけでなく窓口で積立NISAの販売をしたり、クレジットカードの営業をすることは当たり前になりました。
こうした動きは実は転職時にはプラスに働きます。
転職先からすると、事務もできるのに営業経験もあるとプラスに捉えられるのです。
したがって、事務職なのに営業もできるというアピールは他の転職者にはないひとつの長所であり、転職でもアピールできるポイントといえるでしょう。
参考:常陽銀行、一般職を総合職に統合 業務内容で給与に差 | 日本経済新聞
金融知識が豊富
銀行員は常にお金の流れを把握しなければならないため、金融知識が豊富です。
金融は経済の状況に大きく左右されるので、一度勉強すればそれで終わりではありません。常に勉強する必要があるので、勤めている期間が長ければ長いほど金融知識が豊富です。
金融知識は簡単に身に付けられるものではないので、転職の際には強みになります。銀行員をやめて同じ金融業界に勤めたい方は、金融知識をアピールすればスムーズに転職ができるはずです。
金融知識は一朝一夕につくものではないため、企業としても即戦力たりうる銀行員が来てくれるのは非常に喜ばしいでしょう。
私が銀行員からの転職で使った自己PRの例文
私は現在フリーランスとして活動しておりますが、転職を志したことがありました。
結果として、7社の選考を受け、5社から内定をいただきました。
ここまでの成績を残せたのは、転職エージェントの添削を受け、自己アピールポイントを明確にできたからだと思います。
その際に使った例文は以下のとおりです。
私が推していた強みは以下2つです。
- 仮説思考
- コツコツとした努力
抽象的な話ではなく、具体性を持って話せたからこそ内定を獲得できたと考えています。
銀行員からの転職の強みの書き方の注意点
あなたの強みの魅力を紙で伝えるには、書き方が重要です。
これから紹介する書き方の注意点を抑えることで、あなたの自己PRはより一層人事担当者の目を引くことでしょう。実際に転職をしたいと思っている方はこれから紹介する注意点を役立ててください。
- ストーリー性を重視する
- 自分の強みが活きた具体例をかく
- 会社が求めている人材に寄せることも必要
- ネガティブな情報は書かない
ストーリー性を重視する
自己PRで重要なのはストーリー性です。
ただ「銀行員だったので金融知識が豊富です」というのは、薄っぺらくこれを聞いた企業は納得をしないでしょう。何故なら具体例がないからです。一方で、
「○年目は法人営業を行い実際に○社へ融資をして、それにより事業拡大ができ、○%も業績が上がり企業は大きく発展しました。○年目では部下への指導もしてスムーズに契約を取ることに成功しました」
といえばどうでしょうか?
金融知識が豊富に加え、育成力もあると見做されるでしょう。やる気などではなく、実際に自分が業務を行ってどのような結果を残せたのか数値化するのが重要です。
また、未来へのストーリー性も必須です。例えば、「現在の仕事は今まで〇〇でしたが、今後御社を志望するのは〇〇だから」と自身がなぜ転職をするのかを過去の経歴と、未来のやりたいことを関連づけて話すことで、本気度が高まります。
したがって、転職の際はストーリー性を重視するのが良いでしょう。
自分の強みが活きた具体例をかく
具体例に勝る信憑性の高いものはありません。
どれほど自身の強みを説明できたとしても、その強みが発揮された具体例がないことには説得力は欠けてしまいます。
例えば営業が得意だったので何百万円の収益を挙げることができましたでは全く不十分です。
そうではなく、
「社長とのディスカッションを通じて、相手の顕在化していない悩みに気づき、〇〇を提案。結果として〇〇は採用されなかったものの、その商品が切り口となり別商品の検討に至った。継続的なディスカッションと傾聴の結果、最終的に商品を購入してもらえ、〇〇万円の収益をあげた」
上記の方が個別具体的で信頼できる気がしませんか?
つい自身の強みとそれに関する具体例を説明するときは、抽象的になってしまうのですが、そうではなく個別具体的に話すようにすると信頼できるストーリーが出来上がります。
既に就職活動を経験しているあなたなら問題はないかもしれませんが、つい転職する際は緩みがちなので気をつけるようにしましょう。
このように、ストーリ性+自分の強み+数値の3つを入れれば、より具体的で自己PRが伝わりやすくなるでしょう。
会社が求めている人材に寄せることも必要
銀行員にはさまざまな強みがあり、それらをアピールするのも重要です。
しかし採用するかどうか決めるのは会社です。会社が行動力がある人を求めているのに、「財務分析に基づいた的確な融資の回収による判断で会社の損失を防ぎました」といった保守的な話をすれば、会社の求めている人材には当てはまらなくなってしまいます。
嘘をつく必要はありませんが、企業がどのような人を求めているのかを考えて、自分の長所とマッチしている部分をピックアップすることが重要です。
ネガティブな情報は書かない
最も重要なのはネガティブな情報を書かないようにしましょう。銀行員を退職する本音の多くが「仕事が激務」「ノルマのプレッシャーにより心が折れた」「したい業務と違った」などです。
とはいえ会社にネガティブなこと伝えては、会社としても「うちに来てもすぐに辞めるんじゃないか」「うちにもノルマがあるのに大丈夫なのか?」と心配になります。
たとえネガティブな理由で転職をするにしても、ネガティブな理由を履歴書に書かないようにしましょう。企業に不信感を抱かせるのは決してプラスにはなりません。
銀行員の転職で強みを活かすならエージェント利用がおすすめ
転職をする際に便利なのがエージェントです。エージェントにはさまざまなものがありますが以下のようなメリットがあります。
- 無料で利用でき企業の内部情報を得られる
- より多くの求人情報を得られる
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とはいえ先ほども言ったようにさまざまなエージェントがあるので、どれを利用すればいいのかわからないでしょう。ここでは大手エージェントである以下の3つを紹介します。
- リクルートエージェント
- マイナビ金融AGENT
- doda
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結論:銀行員の転職は強みが活きます
本記事では、銀行員からの転職で活きる強みについてわかりやすく解説しました。
私の実体験から見てみても、銀行員は強みが非常に多く、転職に有利だといえます。
VUCAの時代の転職は難しいと言われることもありますが、決してそんなことはありません。今転職をしたいと考えているのであれば、すぐにでも転職をすべきです。
ただし、働きながら全ての転職活動を自分で抑えるのは労力が伴うため、転職エージェントをうまく利用しながら転職するのが有用です。
企業がどのような人材を求めているのか、自分は企業に何が提供できるのかを考えれば、適切な転職理由が見えてくるはずです。
元バンカーのECオタクです。現在は中国OEMなどで生計を立てています。一企業の経営者です。